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皇家海洋楽園の人魚

春休みの瀋陽、最終日に訪れたのは、
フジュンという田舎町。
何年か前に、瀋陽市に合併された街です。


私がフジュンという地名を初めて聞いたのは、
10年くらい前の東京、池袋で出会った
ひとりの中国人男性から。


”出身は瀋陽”、という彼に私はすかさず

「瀋陽!すごい、私の夫も同じよ。瀋陽のどこなの?!」

と、若干興奮気味に聞き返したら、
彼は伏し目がちに

「・・・フジュンだよ」

とぽつり。
瀋陽の地理もおぼつかない私にとっては
瀋陽市内以外のことなど、想像できるわけありません。


その後、都市部とその周辺の郊外、農村部出身とでは
まったく違う「意識」や「格差」が存在することを知るわけですが、
あのときのことを思い出すと、
彼は、どんな気持ちで私にむかって「フジュン」と
言ったのだろう、としんみり、思い出します・・・



さて、話をもとに戻しますと、
このフジュンに何があるかっていうと、
今やこれですよね。

皇家海洋楽園の人魚_a0279234_15455657.jpg
皇家海洋楽園の人魚_a0279234_15460595.jpg
皇家海洋楽園の人魚_a0279234_15461569.jpg

フジュンといえば、
「皇家海洋楽園」
という、巨大テーマパークの所在地ってことに
なるんじゃないでしょうか。


屋内プールから、水族館、遊園地まで
ひととおりそろっているテーマパークです。


海のない土地柄の瀋陽っ子にとっては
唯一のオアシス、
夏休みってなると、こぞってここに行きたがる場所です。



まだ20代の若夫婦が、
子ども連れの私たちを気遣って、
ここへ連れてきてくれたわけですが、


「せっかくだから、泳ごうよ!」


とはしゃぐ、若夫婦のテンションに私はついていけません。

まだ、黄砂のまじる風の強い日、
水着など持ってくるはずもなく・・・


「水着? 売店で買えばいいじゃん」


おお、さすが一人っ子世代、かつ
限りなく90年代生まれにちかい
八十後(バーリンホウ)!


いやいや、この年で今から泳ぐのツライっす、
と引き気味でいたら、隣の夫は


「泳がないともったいないよ」


と説得にかかってきた!


親の下放時代、農村で5歳までを過ごした記憶の色濃い
70年代生まれの意見には、
どこまでも、”どれだけお得か”を重要視する
経済感覚がのぞきます。


いやいや、お得かどうかじゃなくて・・・


ここに、子どもの無邪気なプール好きが加わったら
今後一生着ることのない水着買って、
波の出るプールにうもれるはめになると思ったので、


「水族館だけでいいんじゃない?」


と必死のコメントを返したら、
周囲も納得してくれたようす。


よかった。


料金体系には、セットでいくら、みたいなシステムがあったようですが、
水族館だけで200元もするチケットを買って、
(あ、もちろん、誘ってくれた若夫婦のおごりで)
かなりほっとしながら、
いやほとんど期待せずに、中にはいりました。



ぼろぼろの水槽に、
雑に買われた魚たち見るのに
200元か・・・なんて思いながらね。


そしたらね、見事にその期待、
裏切られましたよ。



今の中国のレベルって、
お金だけじゃないな、って
強く感じましたね。



設備が申し分ないのは言うまでもないことですが。


クラゲも、ペンギンもアシカも、
どれもこれも、それぞれの生態系、自然を大切にしながら、
うまく飼われているのが伝わってきます。
ここの目玉であろう、3頭の白鯨がのびのびと泳いでいるのみたら、
ほんとに、癒されるようでした。


お金儲けを優先するあまり
無理やり実施するようなイベントもなく、
イルカショーでは飼育係さんとの息の合った芸を見られたし、
でかい白蛇を抱いて、写真とったりもできたみたい!
(私はもちろんスルーしたけど)


なってない、というとしたら、
お客さんのマナーのほうじゃないかしら。
(うるさい、とかね、勝手にえさをやる、とかね。)



”これが、現代中国なのね・・・”



そうそう、今までに私が訪れた
中国の動物園や水族館って、どれもが
見るに堪えない悲しい場所だったのでした。
人がただ、楽しむだけっていう感じのね。
動物たちのこと、なーんも考えてないって感じの。


それが、
こんなふうにもなりえるなんて、
すごい。


中国経済っていろいろ言われるけど、
人々の暮らしや考え方を、確実に変えてもいるんだな。
そんなふうに感じましたね。




んでもってね、
最後にやっぱり見せてくれる。



中国のこういう、ヌケたところが、私は
きらいじゃないかもしれません。



「人魚がいる!!ママはやく来て!」



と、いきなり叫ぶ娘。



ああ、はいはい、
また、でっかい人形か、壁の絵でも見つけたのね。


気にも留めず、ペースも変えず、
ゆっくり歩みを進めた先で――。



本当に人魚が泳いでおりました。



皇家海洋楽園の人魚_a0279234_15460069.jpg
皇家海洋楽園の人魚_a0279234_16320322.jpg
「魚と泳ぐ人魚ショー」が行われている
最中だったようです。



人魚たちが手を振りながら、
左から右へ泳いでいきます。


手は振ってくれるけど、
決して、笑顔ではない人魚たち。
苦しいのかな?笑


これが、「いい」か「わるいか」なんてことは
ここでは、別にしといてくださいね。


水槽の中を、魚といっしょに人魚が泳いでいくショーなんて、
初めてみましたよ。


しばらくして人魚たちがさっていくと、
最高潮にもりあがった音楽とともに、
場内にシャボン玉シャワーが。


会場全体が、竜宮城みたいなもんだってことかしら。

これはこれで、なかなか幻想的。
娘も大興奮で


「ほら!!ほんとに人魚いたでしょう!!」


と、得意気なのでした。
皇家海洋楽園の人魚_a0279234_16320917.jpg

by tania0418 | 2016-05-07 17:08


フリーランスの編集・ライター。夫の故郷、遼寧省瀋陽市での、食、子育て、仕事。瀋陽の骨董市で見つけた雑貨を「わたしの中国雑貨店」にて販売。https://mychina.thebase.in/


by tania0418

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