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中国人の境界線・ウチとソト

夫が帰国していたときのことです。


携帯電話の契約内容を見直すために
ショップに一緒にでかけたんですね。


そんでもって、
このプランはいるだの、これはいらない、だの、
ぱぱぱと決めていったわけなんですけれど。


一通り説明を聞き終わったところで、
ひとつだけ、迷ったものがあったんです。
たしか、保険、だったと思う。


正確なことを覚えていないのですが、
夫はそのとき、


「そんなのいらないよ。
壊れたら解約すればいい。他の会社に乗り換えるとか。みんなそうしているよ」


みたいなことを、言ったのです。

それも、店員さんに向かって、笑顔で。


すべての処理を終えて店を出た時、
私は、夫にひとこと注意をした。


「いくら本心でも、ここは日本なんだから、
店員さんに向かって、ほかの店のほうがいいだの、
みんなそうしてるだの、言わないほうがいい」


ぽかんとしていた夫は、それを聞いて

「あ、そうだね」

とやっと気付いたみたいに、漏らしました。


そのとき思ったのです。

ああ、この人、中国の感覚で交渉したんだな、と。

そしてまた、

日本の店員さんって、
どんなことがあっても自分をさらけださないよな、と。


***


中国の店舗でなら、
こんな会話、いたくもかゆくもありません。

なぜなら、店員さんが

「そうだね、やめときな」
とか、
「ほかの店にいきな」
とか、

自分から言ってくるか、あるいは無視するか

しかないからです。


それは、店員さんが、
決して自分はその店に属する人間ではないと
態度でいっているのと同じです。

あくまでも、目の前にいるのは
お金もらってその店で働いている個人。


ノルマだの、社のブランドだのを背負わない一個人にすぎないんです。
ほんとに。
ま、実際、そうですよね。


だから、そこをスタート地点にすれば、
交渉だってストレートだし気楽です。

中国人の、とくに庶民は、
こういう感覚で相手にせまってくる。


ずけずけという、のではなく、
「あなたもそう思うでしょう?」くらいの会話のつもりで。


夫は、そんなふうに日本の携帯ショップの店員さんと、
ただ話をしたつもりだったんでしょう。


しかし、これが日本で行われると、
こんなにもさむざむしいものになるとは。。。
私も、やっと気づきました。


ひきつったような店員さんの笑顔。

凍りつくような店内。


その場にいるだけで、

この国にいる店員さんというのは、

決して自分、や、個人、なのではなく、

店の看板を背負った誰かなのだということを、

思い出させてくれる。
冷や汗と一緒に。



日中における、内と外。
いや、建前と本音。


夫を介して、その違いを思い知らされる。


夫は、店員さんの前でものすごく失礼な態度を取りましたが、
それは決して、
店員である個人への、あるいは店に対しての、
攻撃でも批判でも無礼なんでもない。


ただ、
そこにいる個人に向かって、気ままに会話した、

それだけなんです。



それに、これにイラッとせずに
夫のことをたしなめられるようになった
自分にも驚きましたよ。


こういう態度、
日本では「誤解」されてしまうことの
最たるものだろうな、と思います。



私だってどうしたって、
日本の接客文化には癒されまくっていますが、
向こうの接客文化のストレートさにだって、
よいところがあるのだと思う。


それは、個人が個人であることを超えたときに、
ものすごい結び付き、友情、人脈が生まれる、という意味で。


中国の接客文化に底流する、


「ここで働いているからといって、
私はここの”商品”であるわけでも、
人生をささげているわけでもない」


という強い主張。


そのような考え方がほとんどの
(うちだのそとだの、ではなく、自分がどうか、という)
中国人たちを現地で雇用していく
日系企業の大変さは、想像に難くありません。


だからこそ、もうちょっと日本人も
肩の力抜いていいんじゃない?と
思ったりするんですけどね。




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by tania0418 | 2015-03-30 22:13 | Trackback | Comments(0)

中国ってどうなん

サクラがちらほら咲き始めましたね。

のどかな日本の春。

サクラには浄化作用があると聞くけど、
たしかに、木の下にいるだけで
雑念が消えていく感じはありますね。

昨年は、インフルエンザでぶっつぶれたこの季節。
今年は、おべんとうを持って、近くの山にでも
登りたいです。


田舎にいると、中国って遠いですね。


先日、縁あって40代、50代のおじさま方と
接する機会があったのですが、
私が自己紹介がてら中国で暮らしていたことなどを話すと、


「で、どうなん中国って。生活しんどくないの」

「中国なんか、行きたいと思ったことないな」

「食べられるものあるん? そんなもんよう食うな」



・・・のオンパレード。



世代もあるのでしょうけれど、

発展途上国ばりばりだったころの中国と、

領土問題と環境汚染にまみれた中国と、

密輸、密漁、密入国してる中国しか

知らないんじゃないかと思います。


そもそも興味がないんだね。
それ以上のことを、知りたいとも、知ろうとも
思わないのでしょう。


でも、それは責められないですよね。


だって、そんなこと知らなくったって、
日本にいれば十分幸せで、
やりがいがあって、豊かなんだもん。


こんな田舎で、中国を感じるといったら、

「中国産」か「中国語講座」

くらいなもんですよ。



でも、それでいいのかなあという気がするのは、
私が中国帰りってことでしか、
ないのでしょうか・・・?


私は、
こういう考え方が主流だとしたら、
すごく不安だなあ、日本、っていう気がします。


その間にも、したたかに中国は成長を続け、
公害をばらまいているのですから。


テレビは相変わらず、

「日本ってすごい」
「日本の技術ってすばらしい」
「世界にほこる日本人」

ばっかり。


それはそうなんだけどさ。


度がすぎると、「わたしたちってすごい」の連呼は
厚かましいよ。


わたしたちがすごいってのと同義で
他の国だってすごいんです。
まして、
環境問題は、決してひとつの国の問題じゃない。


そんな相手と、
何かしらコミュニケーションとろうとするとき、

「おれはすごいだろう。だからおれのいうこときいとけ」

みたいなスタンスの誰かが現れたところで、
どうやって心を開いて環境問題に取り組むというの?!


という大きな謎が、
私の中にずーーーっと渦巻いているのです。



残念ながら、田舎で中国の話題があがるとすれば、
ほとんどがネガティブなことばかりです。


こういうとき、私自身がどうふるまうかって、
すごく考えてしまう。


わたしだって、中国を絶賛したいわけでも、
日本を否定したいわけでもない。


だけど、私が見た中国と
おじさま世代の考えている中国は
あまりにもかけ離れている。


それを、その場でうまく伝えられたらいいのだけど、
そうもいかないのが、また悲しいところです。


春ですねえ。
こんなことばっかり考えています。



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by tania0418 | 2015-03-30 21:24 | Trackback | Comments(0)

ルポ2_映画館の思い出

子どものころ、私の家は太原街にあってね。
ほら、遼寧賓館ってあるでしょう、
ちょうどあの裏手あたり。


父親は技術者、母親は質屋の娘。
今じゃ信じられないかもしれないけど、
お金持ちだったんだよ。

家は日本人が建てた洋館でね、
大きかったし、子どもごころに
天井なんかすごく高く感じたよ。


下放されたのは、12歳のとき。
両親は、子どもたちを連れて東北部の農村を渡り歩いていたんだ。
一番上の兄さんや姉さんは、滞在する先々で結婚して、
そのまま残ってしまった。


私は、両親と、のこりの姉と兄、下の妹合わせて6人で、
遼中という農村で10年暮らした。
姉と私は、そこで農民と結婚したんだ。


夫は村で会計士をやっていたほど頭がいい人でね。
小学校で教えたりもしてたよ。
でも、そういう人だから、
水につかる農作業や重労働が身体にあわなくてね。
結局、肺病で亡くなったんだ。


夫が死んでしまったら、私は都市戸籍を持っているんだから、
もう農村に残る必要もない。
解放と同時に、二人の子どもを連れて瀋陽に戻ったんだよ。


そっからは、野菜売りをして生活した。
トマトやきゅうり、旬のものを仕入れて、市場で売るんだ。
小銭にはなるけど、日々の生活で精いっぱい。
子どもたちの学費でほとんど消えたよ。

幸い、私には夫が残してくれた少しの貯えがあったんだ。
でも、だまされて貸したりしてね。
もう一銭も何も残ってないよ。


下放で、全部失ったんだ。
あの家も、生活も。
あれは、よくないよ。よくなかった。


太原街に住んでいたときは、
なんでも買えたし、楽しいこともたくさんあった。
そうそう、近くに映画館もあってね。
(満州時代に建てられた「東北電影院」のこと)


兄姉と連れ立って映画館に行くと、
入口に、もぎられたチケットの半券が落ちてるんだ。
それを拾って見せれば、タダで何度でも入れたんだよ。
誰も気付かないのさ。
いい時代だよ。
毎日のように映画館にいって、映画を見たよ。


そういえば、この間高倉健が亡くなっただろう。
高倉健はすごい人気だったよ。
私ももちろん見たさ。
どの映画かって? それは、忘れた。


でも、高倉健の名前を聞いたら、思い出したんだよ。
いつでも映画が見られた、あの時代のことをね。
毎日のように、映画を見に行っていたんだ。
半券ひろってね。

あのころは、よかった。
ほんとに、よかったんだ。



1955年瀋陽生まれ。女性。一人暮らし。




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by tania0418 | 2015-03-16 23:41 | Trackback | Comments(0)


フリーランスの編集・ライター。夫の故郷、遼寧省瀋陽市での、食、子育て、仕事。 お問い合わせ、そのほかはこちらへ。ken76ya@hotmail.com


by tania0418

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